「神の湯」 宮城県・遠刈田温泉

※本紀行文については「まえがき」をご覧ください。
新春に宿泊した「峩々温泉」の道中で遠刈田温泉にも立ち寄りましたので様子を少し。
随分と前に訪ねたことがありましたが、その際は街歩きをあまりしませんでしたので今回は時間を取りました。
仙台駅から昼前に高速の路線バスで温泉街に到着。先ずは腹ごしらえとして「蔵王 手打ちそば 新楽」で温かい鴨蕎蕎麦と野菜の天ぷらを注文。麺は太めの田舎蕎麦で出汁は野菜も使われているのか薄味ながら旨味あり。野菜の天ぷらは冬らしく根菜や白菜が中心で香ばしい海老塩をつけていただきました。席は常に満席で人気があるのも納得の美味しさでした。

温泉街の共同浴場は二つあり「神の湯」と「壽の湯」。こちらは館内が広めで観光客にも入りやすい「神の湯」。蔵王刈田嶺神社と温泉神社の目の前にあります。湯は館内の裏手から引かれた源泉が浴槽に注がれており新鮮そのもの。高温なので加水がされていますが塩分が含まれた湯は濃厚で身体の芯まであたたまります。「あつ湯」と「ぬる湯」に分かれているのも嬉しいところ。半身浴で交互に身体を慣らしていくことができます。石鹸類やタオルはないので必要に応じて持参しましょう。

こちらは神の湯の裏手にある蔵王刈田嶺神社の鳥居をくぐった直ぐのところにあった看板。なんだろう、と近づくと「狛犬たち」の説明書きでした。神社の云われは飛鳥時代まで遡るとされていますが意匠が異なる3種類の狛犬が登場するのは江戸時代以降。これまで多くの神社を訪ねてきましたが一堂に比較して見たのは初めてでした。

手前で高くお尻を上げているのが「出雲身構え型」で本殿の前の左側が「護国型狛犬」で右側が「はじめ狛犬」。

はじめ狛犬はカエルにしか見えませんね。大きく口を開いている犬という情報だけを聞いて作ったのでしょうか。耳も尻尾もはっきりしませんね。

温泉街にあるのは里宮で奥宮は刈田岳山頂にあるとのことです。蔵王連峰は蔵王権現が祀られているから蔵王と知りつつも「蔵」というのはサンスクリット語で「経典の集大成」という意味があることは改めて確認。知によって救われるということでしょうか。新春にふさわしい楽しい参拝でした。(文・山田祐子)