縁がたまる会社~旅館甲子園~
私事ですが昨年の4月から大学の専任となったため出張が減り、自身の活動をSNSで発信することも減りました。とはいえ、実務を教える実務家教員としての実業は欠かせないため、ここに気づきや雑感を記していこうと思います。
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国際ホテルレストランショーと同時期に行われる「旅館甲子園」。
前回目の5回目は見逃してしまいましたが、今年の6回目は観覧することができました。
「旅館甲子園」は、全旅連青年部が主催する旅館で働くスタッフが主役のイベントで、経営者とスタッフがともに悩み考え、苦難を乗り越えていく物語がステージ上で繰り広げられます。
私は、このイベントを有意義であると感じています。各社の知見や経験を同業者はもちろん業界外へシェアしていくという点で宿泊業界全体の成長につながるからです。経営者が話すイベントやセミナーは良くありますが、スタッフが主役であるという点がユニークです。
今年は全国から選抜された3宿が出場。
優勝したのは三重県鳥羽市の「サン浦島」。
以下、経営側の視点から私が勝手に文字化した物語です。
採用しても若い子は直ぐに離職してしまう。
なぜだろう。なぜだろう。
ひたすらに問い続け「WHY」に立ち返る。
「なぜ、若者は当地へ来たのだろう?自分の居場所を離れてまで。」
自分達の会社に入りたかったから?
したい仕事がそこにしかなかったから?
いや、待てよ。
会社や仕事と同じぐらいに覚悟を決める条件には、
自分が暮らす「土地(場所)」にあるだろう。
この土地であれば自分らしく暮らせそうだと思ったから?
この土地で新しい自分になりたいと思ったから?
「仕事を望む以上に、土地(場所)へ期待するプライオリティーが高いのではないか。」
という仮説をもとに、職場以外の地域活動に参加してもらう機会をつくったそう。
旅館で出している食材の生産者のところへ行く。
清掃をはじめとする地域の活動に参加する。等。
テーマは「縁ができる会社」。
徐々に離職率は下がっていったそうです。
仕事と生活は表裏一体。
寮がキレイ、まかないが美味しい、それも大切ですが、
人との繋がりこそ自分自身を乗り越えるエネルギーになる。
まずは縁ができる機会をつくることが必要なのですね。
寮は古くなるが、出会った人との関係は時と共に深くなっていく。
人から仕事の知識だけではなく人生を生きていく術を教えられていく。
仕事をする前に大切なことは「安心して暮らせること」。
生活をするためには自分の居場所や人との繋がりが必要。
互助精神。
私自身も環境や条件というより人の縁によってここまできました。
お金がたまらないけど、縁をためるのだ、と思いながら笑
学生にも人と繋がる「縁」こそが自分を成長させるエンジンであること伝えたいですね。
来年の旅館甲子園も楽しみです!